土居清良 天文15年(1546)~寛永6年3月24日(1629)
戦国から江戸時代初期にかけての伊予国(愛媛県)の領主。
清良記30巻にその治績が記されています。全体は軍記物語ですが、第7巻が《親民鑑月集》と題されて、清良の農政上の諮問に対して松浦宗案という先代からの重臣で篤農家が、単に農政の心得だけでなく、土壌、作物の品種・栽培、肥料、農業労働等について詳細な意見を述べて、それを記録したものが日本最古の農書として広く知られています。
通常の農書としても、土壌から種まき時期まで数百の実例を用いて季節ごとに説明しているのですが、驚くべきところは、以下の様な記述があることです。
秋の収穫時をねらっては、土佐の一条軍がたびたび三間の里(現在の愛媛県三間町)に押しかけ、稲を奪い取っていました。ある年のことです。一条軍はいつものように豊かに実った稲を奪い取ろうと秋をねらっておしかけて来たのです。しかし、そのときはすでに三間の里は稲刈りが終わっていました。こんなことはないとうろつくところを土居軍の精鋭によってひとたまりもなく追い払われてしまいました。これは、宗案の研究によって、領民たちが早稲苗を植え、収穫の時期を早めたからです。
食料を奪い取られてしまえば、飢え死にするしかありません。互いに必死だったのでしょう。黒澤明の映画「七人の侍」のような世界だったのです。
この書籍は現在では国会図書館のデジタル送信でどなたでも居ながらにして閲覧できますが、何しろ室町時代の言葉とくずし字で書いてあるので、なかなか読めるものではありません。唯一現代語に訳した本がありますが、なかなか手に入れにくいのが残念です。個人的に興味のある方はどうぞお問い合わせ願います。なお、下記画像の図書は以下のとおりで、現代語訳が付いて手軽に読めます。私は日本の古本屋で購入いたしました。
日本農書全集(第I期)10
日本農書全集10 清良記(親民鑑月集)・他
定価5,553円 (税込)
ISBNコード9784540800153
発行日1980/04
出版農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数A5 454頁
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